–■真摯な姿勢–
●ある自治体での出来事
先日、現在お手伝いさせていただいている自治体のアドバイザー業務で、プレゼンした担当者が自分の発言・指摘にブチギレた。
これまでの経験上、そのプロジェクトの方向性を見出すことが難しいことは十分承知しているが、外郭団体との関係を抜本的に見直すことが「これまでの延長線上」から脱却するための必要条件のように感じたので、それをどのようにやっていくのか禅問答のように問うていた。これに対して担当者が「そんなことはわかってるけど難しいから苦労してんだろ、このヤロー!」とか感じたのだろう。
ただ、規模が大きい案件で何十億円ものコストが求められるもの、まちの中心部に位置して点としてでだけなく、エリアとして考えなければいけない重要な案件であることは間違いないので、「真摯な姿勢」で取り組まなくてはいけない。
●「敢えて」集まるからこそ
別にこちらとしても、わざわざ場の空気を悪くするためにそのような問いをするわけではない。
・問題の本質はどこにあるのか
・その課題はどれだけ根深いのか
・どれだけ本質に踏み込もうとしているのか
・解決に向けた道が(非合理的なことが山積するなかで)どこにあるのか
必死になって模索していくためには、その場だけを取り繕う・表面的な議論だけでは、ザ・公共施設マネジメントやザ・PPP/PFIの域から脱することなどできるはずもなく、ましてや「そのまちに住んでいない・生活していない」自分がリアルな実態を把握することなどできるはずもない。
だからこそ「敢えて」集まるし、そのなかでこのようなディスカッションを「ガチ」で嫌われようが何しようが徹底的にする。そして、様々な立場・メンタリティ・アイデンティティ・スキルを持つプロが集まるのだから、ときには衝突することや意見の相違が発生することは何の問題もない。
そして、感情が爆発したときに本音、根本的な原因が見えることも少なくない。
この件も、まだ具体的な方向性は見えていないが、当日の夜の懇親会でもいろんな話をすることで本音ベースで話し合える関係を構築できたことが、何よりの今後の力になっていく。
●Bon Joviのドキュメンタリー
少し余談だが、今回の件で思い出したこと。
前にDisney+で見たBON JOVIのドキュメンタリー。表面上は(割と)早く時代の寵児として上り詰め大成功を収めたように見えるBON JOVIも、その裏では数々のメンバー・スタッフ等との衝突や行き違いがあったことが本人たちの口から語られる。特にアレック・ジョン・サッチの脱退や盟友だったはずのリッチーとのやりとり、フィルXの登場による複雑な関係などは、「何を取るのか」と同時に何かを切り捨てなければ前に進めない生々しさが溢れている。
●オママゴトではありえない世界
「わかってるけど簡単にはいかない」「過去から今日までに蓄積してきた課題が(全くの原因者でもない)現担当者に押し付けられる」不合理さに押しつぶされそうになりながらも、プロとして・その課題を解決しなければいけないことだとプロとして理解し「何とかしたい」からこそ、その感情が表に出る。
全く悪いことではないし、こうしたことが本当の意味での「喧々諤々の議論」であるはずだ。
一般的なコンサルによる先行事例の劣化コピー、オママゴトの市民ワークショップ、ノーリアリティのオママゴトシミュレーション、現場をやらない学識経験者による空中戦の有識者委員会ではこのような場面に遭遇することはないだろう。
そこに「本物の熱」が宿ることがないから、アウトプットも無機質・無難なものになり、人の匂いのしない単なる税金依存型のハコモノや表面的な「やってます行政」の世界しか生まれない。
それは単なるリソースの無駄遣いでしかないし、そんなことをして機会損失している間に猛烈な勢いで変化する社会のなかでまちが衰退していく。
–■衝突の必然性–
●揉めることの回避
今求められているのは「みんなで楽しく話し合うこと」ではない。オママゴトの世界ではワイワイガヤガヤの「その場だけの楽しさ」があるだろうが、その場が終わった瞬間に何も残らない。そんなことで悦に浸っている人たちを最近多く見るが、そのこと、そこから得られた知見で「あなた」「あなたたち」が3次元の世界を何か変えているだろうか。
ガチの現場では衝突が起きるし、対立もある。むしろ、本当に変化を生む現場では、必ずと言っていいほど、強い摩擦や異論が生まれる。
しかし、現在の多くの自治体での会議・政策の政策形成の現場では、その“衝突”こそが避けるべきものとして扱われてしまっている。話が割れるくらいなら決めないほうがいい。揉めるくらいなら動かさないほうがいい。こうしてあらゆる改革が立ち消え、公共施設の老朽化は放置され、地域経済も疲弊していく。
その根底にあるのは、「仲良しクラブ」的な空気である。誰とも対立したくない。全員の合意を得たい。敵をつくりたくない──それは一見“優しさ”のようでいて、実は地域を蝕む最大のリスクである。この点については後述する。
===続きはリンク「まちみらい公式note」===
https://note.com/machimirai/n/n9f73fb8873ae

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