■神流町のカンピロバクター食中毒
●概要
2025年4月11日、群馬県神流町で発生したカンピロバクター食中毒事故は、単なる一過性の水質トラブルに留まらず、日本全国に張り巡らされた水道インフラの構造的欠陥・現在位置を白日の下に晒した衝撃的事件である。
神流町相原配水池から供給された水道水を飲用した14名が下痢・腹痛を訴え、うち4名から食中毒菌が検出された事実は、配水池―送水管―配水管―家庭用給水装置という一連の供給過程がもはや安全ではないことと同義である。

●氷山の一角でしかない
老朽化・(技術)職員不足・認識と点検不足という三重苦に蝕まれているのは神流町だけではないだろう。全国約720千kmに及ぶと言われる上水道インフラの現状をデータを公表されている資料から見てみると「氷山の一角」でしかないことは明白であり、これ以外にもここ最近、各地で上下水道に関連して事故・トラブルが頻発している。短絡的・表層的な「やってます行政」の延命策、ほぼ仕様発注で社会資本整備総合交付金を獲得するための画一的な「国策ウォーターPPP(レベル3.5)」では立ち行かないし、「耐震適合率」などの都合の良いデータで誤魔化している場合でもない。
更にこちらの報道によると、大腸菌も検出されていることから、専門家によると「カンピロバクターのように表流水で発生しうるだけでなく処理工程や管理手法にも問題があった可能性がある」とのことである。
2019年の神流町簡易水道経営戦略によると、簡易水道であるため地方公営企業法の「法適」がされていなかったりするが、何よりも象徴的なのが組織として「産業建設課」内に水道係が置かれているが、その役職は「主査・主事」のそれぞれ「30代1名、20代1名」のみであることだ。(年齢が問題ではないが、)やはり行政として十分な体制が構築されていなかったことは、この辺りにも読み取れる。同時に「これまでの主な経営健全化の取り組み」「経営比較分析表を活用した現状分析」は法適でないこともあるが、何も記載されていない。
これらは配水池や管路等のハード面の劣化のみならず、運用・監視体制といったソフト面の脆弱性が、今回の一因にもなっていると考えられる。
今回の事故・問題が神流町の簡易水道に限った問題でないことは2007年から2022年までの15年間で上水道における職員が全国で12,345人(22%)、下水道が同8,135人(23%)減少していることを見れば明らかである。
日本全体で簡易水道事業の料金回収率が52.9%に留まっていること、給水人口は上水道事業の1%、人口1人あたりの管路が24.8mと上水道事業の4倍以上に及ぶことから、そもそもが経営的に難しい状況にいることもわかる。
水道は簡易水道といえども市民生活・生命を支える根幹的なインフラであるため「安易に廃止」できるものではないし、「広域化すればいい」と短絡的に解決できるようなものでもないが、だからと言って「無理ゲーだから諦める」わけにもいかない。そして、マンパワーをはじめとするリソースが不足するから。。。といって言い訳できる問題でもないし、手を拱いていると、今回のような事故が発生する。

===続きはリンク「まちみらい公式note」===

https://note.com/machimirai/n/n1ba92ffdb0de

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