■なぜこのテーマ?

●自治体等FM連絡会議
2024年8月に富山市で開催される自治体等FM連絡会議で発表することとなった。
この会議は2010年から毎年、2回/年の頻度で開催されており、全国から公共施設マネジメントの担当者が集まる。当時は公務員で公共施設マネジメントに取り組み始めたばかりであったが、第1回から公務員を辞めるまでは毎回必ず参加していた(この間に代表幹事も務めていたこともある)。基本的に自治体の担当者しか参加できないことから、公務員を辞めて以降は今回のような形で「呼ばれたとき」のみ参加させていただいている。
そして、今回のテーマが「都市経営の視点から見た公共空間の可能性」というかなり難しいものなので、自分の発表タイトル「まちとの絆-短絡的総量縮減・オママゴトからの決別-」に合わせて整理(+noteを読んでいただいている方へのネタバレ)するためにまとめておく。

●当たり前のことだけど未だに
公共施設マネジメントやPPP/PFIが自治体にとって重要なテーマになってかなりの時間が経過している。総務省が2014年に全ての自治体に対して公共施設等総合管理計画の策定要請を出したり、内閣府・総務省連名で2015年に200千人以上の自治体を対象(現在は100千人以上に拡大)にPPP/PFIの優先的検討規程の策定要請をしているが、そのまちの経営のためにどのような公共資産を持ち、活用していくのかは(法定受託事務ではなく)自治事務である。
自治事務なので、それぞれの自治体が自主的にかつクリエイティブに公共資産を利活用していくことが必要であり、そのこと自体は至って当たり前のことであるが、残念ながら全国的には未だに「誰か・何か」に依存して「自分たち」で考えて覚悟・決断・行動をしていない自治体が多いように思う。

■何のためにやってるのか?
いろんな自治体の担当者の話を聞いたり、実際に業務として様々なプロジェクトや計画に携わったりするなかで、「何のためにやっているのか?」が明確になっていない人・まちに会うことが多い。

●短絡的総量縮減
公共施設等総合管理計画では、ほぼ全ての自治体で(総務省の策定要請の影響やさいたま市のハコモノ3原則がフューチャーされていたこともあるが)「30年で30%の施設総量縮減」といった施設総量の縮減が目標として掲げられている。
以前から様々なところで主張しているように、本来はカネの問題から始まったはずの問題を旧来型行財政改革の思考回路・行動原理で短絡的に「公共施設やインフラは負債」なので減らせば良いとしてしまっているところに根本的な問題が存在している。
そして、公共施設の総量縮減を目標に掲げながらも、現実的にはさいたま市に代表されるように、この数年間で施設面積が増加している自治体が非常に多い。横手市のように施設面積をかなり削減している自治体も一部では存在しているが、面積を減らしてもそれ以上に人口減少・流出やまちなかの衰退のスピードのほうが圧倒的に早く、根本的な解決には全く繋がっていない。
こうした現実は、総務省が公共施設等総合管理計画の見直しにおいて、「施設保有量の推移」を明示するようになったことから、定量的に把握しようと思えば全国の状況も把握できるはずだ。(行政財産⇒普通財産にした時点で実際の施設保有量は全く変わらないのだが「管理対象面積から除外≒施設面積を削減」したことにしてしまっている自治体もあるので、総務省が本気で「施設面積の削減」を志しているのであれば、こういった部分も含めて全国のレビューをするべきだろう。)

オママゴト
総量縮減一辺倒のザ・公共施設マネジメントが思うように進まないと感じたり、利用者を中心とした市民・議会への説明で炎上したり(それすら避けたり)しても、何か「やっている感」は見せる必要がある。
コンサルに高額な業務委託費を払って計画づくりの無限ループに自ら陥ったり、市民を集めて公共施設マネジメントのボードゲームを実施したり、高校生・大学生といった若いリソースを無駄遣いした啓発マンガを作成したり、有識者委員会を組織して空中戦を繰り広げたりしていく。
これらに共通することは、どれだけやっていても全く「三次元のリアルなまち」は動かないことであり、これらはすべて貴重な税金を使ったオママゴトでしかない。
これだけでもかなりタチが悪いが、もっと悲惨なのは他自治体の先行事例を短絡的に劣化コピーして「ハコモノを整備すればまちが活性化する」と、完全にまちのヒューマンスケール/エリアスケールから逸脱したハコモノを整備し墓標化することである。
コンサルに丸投げ委託して可能性調査・アドバイザリー業務を行なって、形式的・アリバイづくりの事業手法比較法とVFMを算出してPFI法に基づくPFI(サービス購入型)整備したから民間活力を導入した、うちのまちはPPP/PFIに積極的に取り組んでいると表面的に取り繕うのも、結果的にまちにとって良いことはないのでオママゴトの一環でしかない。

===続きはリンク欄「まちみらい公式note」===
https://note.com/machimirai/n/n25258e8b20b6

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