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■やす子「様」のプロジェクト
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●概要

2026年9月25日放送のフジテレビ系「坂上どうぶつ王国SP」で、芸人のやす子「様」が進める保護動物施設のプロジェクトが紹介された。
番組では、千葉県茂原市の旧幼稚園の土地を保護動物園の建設地に選び、自治体から土地の購入権も得たうえで、建設地の周辺住民を対象とした住民説明会に臨む姿が放送された。
まちみらいとしてサポートさせていただいている茂原市で、やす子「様」は随意契約保証型の民間提案制度を活用して旧幼稚園を4,390千円で購入し、動物保護施設を自ら数千万円を投資して整備・運営してくださることになっている。
茂原市の公式Instagramでは、契約締結に関する投稿もされている。
閉園した公共施設に民間が自己資金を投じ、新たな役割を与え社会性・公共性の高いプロジェクトを創出する。言葉にすれば単純であるが、茂原市の旧豊岡幼稚園も一度は売却プロポーザルで優先交渉権者なしという結果に終わっている物件である。
それが1年足らずで保護動物施設のプロジェクトとして動き出したわけだが、週刊誌のウェブ版等では「見通しの甘さ」を指摘する記事も配信されている。本noteでは、この事例について分析していきたい。

●このプロジェクトが動いた背景
茂原市がこのプロジェクトを動かすことができた大きな要因は、次の2点である。
・随意契約保証型の提案制度
・即断即決
以前のnoteでも書いたが、今回の件はこの2点がいかに大きいかをあらためて示している。
それだけでなく、茂原市は売却した後も民間と一緒に走り続けている。
本noteでは、旧豊岡幼稚園をめぐる経緯を時系列でたどりながら、制度・決断・伴走の3つの論点を整理し、放送で映されたやす子「様」の姿勢と、報道で示された不安とを突き合わせる。

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■夢の公表から候補地選びまで
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●夢の公表

やす子「様」が保護動物施設の構想を公にしたのは、2025年7月25日放送の「坂上どうぶつ王国」2時間スペシャルである。犬や猫だけでなく、ウサギや馬なども保護できる施設をつくりたいと語り、この構想は「ハッピーランド」と名付けられた。
この放送のなかで、坂上忍氏から資金規模を問われたやす子「様」は言葉を失っている。
3年間で200頭以上の犬や猫を保護してきた坂上氏は、土地や建物代、食事代や医療費、スタッフの人件費などで保護活動に3年で500百万円を要したと明かした。保護動物施設の運営がどれほどの資金を必要とするのか、夢に対する現実を構想の出発点で突きつけられたのである。

●候補地探し
そうした厳しい現実を先行者から告げられてもやす子「様」の構想・行動は止まらなかった。2025年11月21日の放送では候補地探しが紹介され、条件として「都心から1時間30分圏内、広さ500坪以上、初期費用をなるべく抑えること、自然に囲まれ民家と接していないこと」が挙げられた。最初に訪れた廃校は、広さ4,000坪で賃料は10,000円/日と初期費用を抑えられる物件であったが、老朽化による修理費や月々の管理費を考慮して「要検討物件」とされた。
その後に見学した廃園の幼稚園は売却価格4,400千円(やす子「様」の総予算50,000千円)であったため、やす子「様」が購入希望の申し込みを行い、市が希望者のなかから売却先を決定することとなった(※これを随意契約保証型の民間提案制度で実施している)。
やす子「様」は、広さ・安さだけで飛びつかず、自らの夢と財布をきちんと直視して修繕費や管理費まで含めて候補地を比較している。構想の段階から、施設を維持していく負担を見据えた判断が積み重ねられてきた。このあたりからも彼女の本気度と「やらせ」ではないことが見て取れる。
実は、この過程では筆者がサポートしている他の自治体の物件にもやす子「様」から打診があったのだが、残念ながらその自治体は「随意契約保証型の提案制度を持っていなかった・即断即決できなかった」ことから、選定されることはなかった。
彼女は本気で動物ハッピープロジェクトを実現したいからこそ、超多忙な合間を縫ってでも物件を血眼になって探していたのであろう。

●物件概要
今回の舞台となっている旧幼稚園は1965年築の物件で、2年後の茂原市と旧本納町の合併後も地域の幼児教育を担ってきた施設であるが、認定こども園制度の開始に伴い2020年度末で閉園となった。
閉鎖後は未利用のまま建物の劣化が進み、耐震診断とアスベスト調査も実施されていない状態であった。

市の物件概要によると
・敷地面積_約3,360㎡
・建築物_1965年築の木造園舎、1978年築の木造附属棟、1995年築の軽量鉄骨造附属棟、物置 計4棟 延べ面積計_約720㎡

茂原市が抱える閉園施設は、この旧幼稚園だけではない。2025年度の民間提案制度では計4施設を対象としている。少子化と認定こども園への移行に伴い、役割を終えた保育・幼児教育施設が市内に複数生じている状況下で、一つひとつの施設にどう向き合うかは、茂原市にとって個別の案件ではなく、まち全体の課題である。

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■1回目の公募と「選ばない」判断
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●2024年度のサウンディング⇒プロポーザル

茂原市はこの物件について、2024年2月に別の旧保育所とあわせてサウンディング型市場調査を実施し、同年12月には売却に向けた公募型プロポーザルを公告した。このプロポーザルは、市が選定した事業者に物件を現状有姿で売却し、事業者が提案した事業を実施するもので最低売却価格4,360千円(税抜)、内訳は土地4,044千円・建物316千円と設定されていた。
審査は、外部委員と市職員で構成する「茂原市空き公共施設利活用審査委員会」が担い、応募者が1社であっても審査委員会を開催し、審査の結果「最優秀提案者なし」とする場合があることも募集要項に明記されていた。

●優先交渉権者を選定しない
結果は参加事業者数1事業者、優先交渉権者は「なし」であった。
この結果は、茂原市が売却価格だけで相手方を決めていないことを示している。応募が1社であっても、その事業が地域にとって意味のあるものかを審査し、要件を満たさなければ選ばない。茂原市が財産を手放すことを目的にするのではなく、その土地で何が行われるかを問う姿勢は、この時点で既に明確であり確立されていた。
一方で、売却プロポーザルの枠組みには限界もあった。「売却して利活用する事業者」を市が設定した条件のもとで募るこの方式では、手を挙げたのは1事業者にとどまったが、ここで手を止めなかったことが非常に重要な要素であった。

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■即時の方向転換
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●第2の矢としての提案制度

プロポーザルが不調となった時点で、茂原市は既に民間提案制度も並行して運用していた。
茂原市が随意契約保証型の民間提案制度を導入したのは2024年度である。その1年目の成果が旧二宮小学校や旧ひめはるの里の跡地活用、ESCO事業によるLED化等である。
「茂原市民間提案制度」の採択案件のひとつとして、茂原市と株式会社コスモスイニシアがアウトドアドッグリゾート事業に関する契約を締結している。2026年に複合型ドッグパーク「Ruff-Laugh Chiba(ラフラフ千葉)」がオープンした。
旧豊岡幼稚園のプロポーザル結果を公表したページには、今後は民間提案制度により事業者を募集していく予定であることが不調の結果とあわせて明記された。
茂原市は新たな仕組みをゼロから検討するのではなく、「第2の矢」として既に整備・運用していた随意契約保証型の民間提案制度を活用することとなった。今回の件でも重要だったことのひとつは、複数の手段を常備していることと、それを状況に合わせて繰り出す柔軟さ・迅速さだっただろう。
2025年度の民間提案制度は2つの型で構成され、ひとつは市が対象を示す課題設定型で、今回の幼稚園を含む4施設の利活用に関する提案が募集された。もうひとつは自由提案型で、提案対象を限定せず民間事業者からの自由なアイデアや知見を踏まえた提案が幅広く募集された。

===続きはリンク「まちみらい公式note」===

https://note.com/machimirai/n/na87e9a166461

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