■慌ててLED化≠GX、脱炭素■
●蛍光灯の製造・輸入禁止
2027年で水銀添加製品である一般の蛍光灯が製造・輸入禁止になる。国や地方公共団体ではGXや脱炭素などを政策として高々と掲げているところが多いが、実際には公共施設・インフラには必要な更新経費をかけてきていないため、「(数十年前の)竣工時の状況がそのまま」残っている。
防水・外壁といった躯体としての基本性能にすら必要な改修・投資等が行われてこなかったなかでは、照明設備(や空調設備)は事後保全すらままならず、既存の蛍光灯や水銀灯なども普通に残置されており、水銀灯に至っては既に製造中止になっているものも多く、当該箇所は電気が切れたままの状態で何年も放置されているものすらある。
環境基本計画や脱炭素先行地域など掲げていても、結局は足元の当たり前のことすらできていない、「計画行政たる世界が機能していない」ことは環境分野でもこうしたところに現れている。
●各地で慌てて
自治体は、蛍光灯の製造・輸入禁止という「待ったなし」の条件を突きつけられたことから、全国各地で慌てて「公共施設LED化検討業務委託」などが発注されている。対象施設・概算コスト・事業手法比較表・VFMの算定を行うコンサル業務委託や「LED化リース事業」などが連日、業界新聞を賑わせているが、そこに主体性は感じられず、慌てて・やらされてやっている感が圧倒的に強い。
また、業界団体や各種メーカーなども補助金・助成金のリストなどを掲載し、この動きを(よく言えば)支援しながらビジネス化しようとしている。
そして、総務省も公共施設等総合管理計画を「短絡的な施設総量縮減を目標」としていたはずなのに(それがうまくいかないからなのか、適正管理推進事業費を使わせたいからなのか)公共施設等適正管理推進事業債に「脱炭素化事業」を位置付けてきた。
総務省はこういった環境省や経済産業省マターのところに手を出す前に、本来やりたかったはずのザ・公共施設マネジメントに全勢力を注ぐべきだろう。本筋すらできていないのに安易にLED化に入ってくることによって、自治体を混乱に貶めていることをわかっていないだろうか。
●ハイエナコンサル・事業者登場
このようなカオス状態になってくると、必ず現れるのがハイエナコンサルである。(今回のLED化の場合はハイエナ事業者も山ほど参入している。)
LED化など、きちんと何のためにやるのか・どこを求めるのかといったビジョンと要求水準、時間的・財政的等の制約条件を整理しておけば、大した専門知識がなくとも、そして技術職などいなくても、プロポーザルや随意契約保証型の提案制度で簡単に処理できるレベルのものである。
実際に自分が公務員時代もESCOで対応したり、街路灯に至っては入庁後まもないコミュニティ課の職員が(多少サポートしたが)、自分で全てESCOで事業化している。これまでも常総市・阿南市・射水市等の関わった自治体で提案制度等を活用してLED化はコンサルに依存せず実施している。
その程度のものを何千万円もかけて業務委託するのは愚の骨頂でしかないし、そのコストがあるならLED化の原資に回すことでLED化だけではなく、他の設備の更新費にも回せるし、ESCOであればその額を上乗せすることで空調設備も含めて事業化できる可能性も出てくるだろう。
LED化でも「喰われる自治体」とそうでない自治体は二極化している。
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