■ホントにそれでいいのか?

●国土交通大学校のPPP/PFI研修
毎年の恒例行事になっている国土交通大学校のPPP/PFI研修。「PPP/PFI事例」「官民対話」の2コマの講義と最終日の受講生のプレゼンを聞きコメントするという貴重な機会をいただいている。全国の自治体職員のトレンドや現状を肌で感じる・理解できることもできるので、関係者の皆様には本当に感謝しかない。
ただ、毎年のように(研修内容・プログラムの問題もあるのかもしれないが)受講生による最終発表ではデジャヴかと思うようなザ・PPP/PFIのハコモノ・基盤整備事業が提案される。「みんな・賑わい」といったNGワードが連発し、市場性・経済合理性やニーズはお構いなしに地域住民(や団体)からの要望だけが立法事実になっていたり、支払いを平準化するためだけにPFI法に基づくPFI(BTO方式のサービス購入型)が前提となっていたり。
今回もこのような案件には「自分の金だったらやるのか?100万円でいいから出そうと思えるか?」「何のためにやるの?」「本当にこれがしたいの?」等のコメントをさせてもらったが、やはり即答できる人はいなかった。

●どうせうちのまちでは
いろんな自治体からの相談をいただくなかで「こんな考え方もあるんじゃないか?」「〇〇の事例が近いので、そこから学ぶこともできると思うんだけど」等と話しても「どうせうちのまちでは・・・」「うちには〇〇さんのような人はいないから」「うちの首長・議会・上司は・・・」等、ダメダメ時代の碇シンジくんのような全否定で思考停止・フリーズしてしまうことが多い。
自分も全国47都道府県、あらゆるところに行っているが、「捨てていい」と思うようなまちは一つとして存在しないと確信している。どんなまちでも必ず「何か」に希望を感じて逞しく生きている民間のプレーヤーが必ずいるし、そのような方々によってまちの生命が成り立っている。
あなたが、あなたの周囲「だけ」がネガティブなだけで、まちの未来に至るポテンシャルを捨ててはいけない。

●やれと言われてるから
「上からやれと言われているから」「引き継ぎで自分の仕事とされているから」「基本構想でそうなっているから」とりあえずやろうと考えているけど、相談できる人もいないし予算もないからどうしたものか、まずは期限までにとりあえずハコモノだけは整備したいといった相談も多い。(中には「まちみらいはホームページで金額を公表していて他のコンサルよりも安いから」といった失礼な枕詞を丁寧につけていただいたこともあるw)
なんでもそうだが、「やらされている」時点で自らの強い意志が欠如しているので負けである。
やっつけ仕事で「とりあえず」間に合わせたハコモノに魂が宿ることはない。全国に乱立する墓標、誰も使わない都市公園などに共通するのは、無機質で人の匂いがしないことである。具体的に言えば「誰が・何をやるのか≒コンテンツ」が皆無でただの物理的な要素しかないものである。
「やれと言われてるから」の時点で魂がそこにはない。
魂のこもっていない・立法事実も希薄な基本構想は本当に正しいのか?その瞬間が立ち止まる・引き返すポイントの一つになるはずだ。
東洋経済の2024年5月11日号で指摘された「喰われる自治体-溶ける地方創生マネー」そのものである。
あなたが楽をする、やってる感を出すためにまちの貴重なリソースを浪費してはいけない。

●ホントにそれでいいのか?自問自答
上記のような思考回路・行動原理(や結果としてまちの衰退を招いてしまうこと)に陥ってしまうことは、「やったこともない・やっていくうえでは困難が連続する・(苦労して)やっても評価されない・孤軍奮闘しなければいけない・コンプライアンスとかで叩かれる」等の非合理的・ムラ社会の行政ではわからなくもない。
ただ、「ホントにそれでいいのか?」を自問自答してほしい。
オガールの岡崎さんが言われるように「俺たちは死ぬけど風景は残る」こと、その事業の原資は市民が必死になって働いて得た対価から捻出された貴重な税金であること、友人や家族に「どんな仕事してるの?」と聞かれて胸を張って答えられるか考えてほしい。
一人でできることは限られているし、理想どおりに進むことも現実的にはあり得ないが、いろんな人・主体が得意なリソースを持ち寄り掛け合わせながら試行錯誤を繰り返すことで「人の匂いがする」場になっていくはずだ。その第一歩が「ホントにそれでいいのか?」に対する自問自答と個人としての覚悟・決断・行動である。

===続きはリンク「まちみらい公式note」===
https://note.com/machimirai/n/nf068c6e02409

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