●能登地震

▲甚大な被害
2024年1月1日に発生した能登地震は能登地方を中心に富山県などに甚大な被害をもたらした。
地震発生から約50日が経過した2024年2月20日現在でも、輪島市では約10,000戸全てで断水状態(石川県HPによると一部で通水し19日現在で約8,700戸が断水)になっており、避難者数も石川県全体で11,000人を超えている。日常生活への復旧まではまだ長い時間を要する。
以前のnoteでも記したとおり、徐々に報道でもクローズアップされてきたが能登地方だけではなく全国の上下水道管の老朽化は深刻で、上水道のうち「基幹管路」における「耐震適合率」はわずか約40%に留まっている。水道は主たる水道管(=基幹管路)だけでなく、住宅地内等へ張り巡らされた管路も非常に多いこと、耐震適合率は耐震継手となっていないものであっても地盤状態が良好なものも含む計算となっていることから、実質的な上下水道の耐震化率はこれより圧倒的に低いものとなっているはずだ。
更に上下水道管の更新率も全国平均で1%を下回っていることから、単純計算すると40年の法定耐用年数の約2.5倍以上の更新期間、100年以上がかかることになってしまう。
(基本的に近年は下水道も含む)水道事業は、水道料金(+下水道料金)によって独立採算とすべきだが、ほとんどの自治体で赤字経営となっており、一般会計から多額の繰入がなされている。しかし、全国的に水道料金を本気で値上げをしてでもこの問題に取り組もうとする動きは鈍い。
まさに上下水道の問題を菅と共に地下に埋めて向き合ってこなかったのである。

▲機能しないBCP
阪神・淡路大震災や東日本大震災を経てBCP(事業継続計画)に対する関心が高まり、現在ではほぼ全ての自治体がBCPを策定している。「いかに被害を抑制するか、被害が発生した際にどれだけ早く日常を取り戻すか」がBCPのポイントとなるが、(被害があまりにも甚大だったとはいえ、)今回の能登地震でこれがどれだけ機能したのだろうか。
そもそも自分も公務員時代に防災関連の部署でBCPを策定していたが、残念ながら(記憶が正しければ)「コンサルに丸投げ委託+形式的な有識者委員会+既成事実としてのパブコメ」だけで策定していたこと、これをどう活用していくのかの共通認識化が図られたなかったため、恥ずかしながらこのnoteを書きながらはじめて開くこととなった。
結果論になってしまうが、年末年始やお盆などは職員も帰省や旅行などで「多数がそのまちを離れている」ことが想定されるが、「1/3の職員は必ずいつでも参集できるようにすること(3年に1回は年末年始・お盆もそのまちにいなければいけない)」などの基本的なリスクヘッジはされていただろうか。
行政における「形式的なBCP」は分厚すぎて、非常時にそのような「使えない辞書」のページをアナログでめくっている余裕は時間的にも精神的にもないはずだ。
一方で2014年に市域の1/3が水没する被害に見舞われた常総市では、「災害に強い常総市」「防災先進都市」を掲げ、外国人も含めたマイタイムライン作成や民間の福祉施設も含めた避難訓練などを平時から実施しており、職員も防災訓練時には防災服を着用し、いざというときをベースにしたリアルな対策を進めている。
今回の能登地震の被災地だけでなく、全国の自治体でこのような「本来は当たり前のこと」をどれだけ真剣に取り組んでいるだろうか。
「使えない辞書」としての分厚いBCPは仮眠の枕にすらならない。

===続きはリンク「まちみらい公式note」===
https://note.com/machimirai/n/n796274d2e945

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